未分類

懐石のメインは?

懐石料理のメインをご存知ですか?

懐石料理の献立には、前菜、お造り(向付)、煮物椀、焼き物、揚げ物、八寸、預け鉢、ご飯、汁物、香の物があります。懐石料理の基本は「一汁三菜」です。この3菜の中にあるのが、お造り、焼き物、そしてメインとなる、煮物椀です。煮物といっても家庭的な煮物ではなく、お吸い物です。え?と思うかもしれません。汁物なら、一汁の方では?むしろ「二汁二菜」なのではと思う方がいると思います。私も若い頃はこのことがよくわかりませんでした。懐石の煮物椀のことを「お椀物」や「椀盛」ということがあります。このことから、お椀に盛られた料理です。私は、修行先で教わった言い方だと「具沢山の汁物」です。一方では、煮物のことを「炊き合わせ」と言います。私が、自分で開催している料理教室で、「煮る」と言うことを「炊く」と解説していたら、「関西の方ですか」と聞かれたもので、どうやら、煮物椀をうまく伝えるのは難しいものだと言うことがわかりました。

煮物椀が、メインと言える理由

煮物椀は、「懐石料理の華」あるいは「懐石料理のハイライト」なんて言ったりします。この煮物椀で、その職人の実力がわかるからです。旬の食材を吟味し、季節感を表現する煮物椀はまさに、技術と知識の集大成ともいえます。ただ煮た物を入れるのではなく、鱧のように、葛でまぶし、素材に火を入れていく「葛叩き」、油で揚げ素材を盛り付ける、「卓袱仕立て」また、焼き身を盛り付けるたりもします。出汁にしてみても、細心の注意をはらってとった一番出汁や、魚のあら骨をうまく使った、すっぽん仕立て、はまぐり の潮汁や、「沢煮椀」のようなスープ仕立てがあります。こうした、高度な技法が生み出す、料理の観点から見ても、立派なメインです。そしてもう一つ大切なこと、それは懐石料理(おもてなし料理)のメインであることです。そこには、作り手がいかにお客様に喜んでもらえるか、思いを込められて作られているからです。

煮物椀の器

煮物椀は基本、漆塗りの器に盛り込みます季節によって様々ですが、夏は薄手の物、冬は、温もり感ある物を選びます。巻き絵にしても、お祝い事に鶴亀椀、春には、吉野のお椀、夏には富士銀椀、秋には日月椀、武蔵野椀があります。金の巻き絵を内側にまでほどこしたお椀はとても豪華です。表面は派手を持たず開けた時に蓋の裏に書かれた巻き絵は、豪華さと驚き、風情を感じます。私が、詫びの極みと感じたのが、水のお椀です。黒塗りのシンプルなお椀の蓋の外側に黒漆で描かれた水紋の巻き絵、気をつけて見ないと身おとしてしまいます。ここに詫びの精神が感じとれます。私はこの器が好きで自身の店で出している器、煮物椀にも、外は黒蒔絵で、稲穂を描き、うち面は、真鍮箔の金のお椀です。これは、五円玉とご縁をかけ合わせて、デザインさせ特注したものです。外と中の意外性、驚きを味わってもらいたかったからです。

四季の煮物椀

お雑煮

全国では様々な、お雑煮があります。その土地土地のものを使い、出汁も鰹節や、昆布だけではなく、あごや煮干し、鶏ガラなんかを使い、味付けも、すまし汁や味噌汁と実に様々です

節分と呉汁

節分には、豆をまき、鬼を追い払う。大豆からできる湯葉を椀だねとしたものや、豆乳仕立て、また、すりつぶした大豆の汁「呉汁」が出されます。

雛祭りとはまぐり の潮汁

雛祭りには、はまぐり の潮汁。これは定番中の定番です。このはまぐり の潮汁は、お食い初めの赤ちゃんが女の子の場合にも、汁物に出されます。

お花見の季節「桜の葉と道明寺」

雛祭りになると、桜の葉で包んだ、桜餅を食べる風習があります。関西の桜餅は道明寺です。この桜餅の餡を、鯛や鯛の白子にかけて、生姜をきかせた、薄葛仕立てにします。

「若竹汁」

4月にもなれば、筍の季節。ワカメと筍の椀は定番中の定番です。

端午の節句には「鯛かぶと椀」

端午の節句には、立派に成長を祈り、兜を飾ります。鯛の頭部分を「かぶと」といい、鯛の頭を煮た物を「兜煮」、汁物を「兜汁」と言います。

卓袱椀

卓袱椀、卓袱仕立ては、魚を唐揚げにし、骨からとった出汁をすまし汁にしたものです。江戸時代、長崎では、開国により様々なものが入ってきました。そんな中影響をうけた料理が卓袱料理です。天ぷらの発祥はオランダであることはご存知じでしょうか?その時代までは、高価な食用の油を使うことはできず、輸入により食用の油が普及したから天ぷらが食文化に根付いてとされています。こうして料理に油を使えるようになり、開国地、長崎、卓袱から、上記調理ほうに卓袱を用いているようです。

アイナメ葛叩き

アイナメは春の食材です。アイナメは、上品な油をも関西では「油目」ともいいます。アイナメは小骨もあり、骨を抜いても途中で切れてしまい、鱧同様骨切りをします。そしてその身から旨味が抜けぬ用、葛(片栗粉)をまぶしたものを湯にはなち椀種にします。鱧の手前、春先から初夏にでてくる煮物椀です

関連記事

この記事へのコメントはありません。