〜物語のあらすじ〜
これは、むかしむかしのお話です。
大国主という心優しい神様がいました。
大国主は、先祖のスサノオから出雲国を譲り受け、治めることになりますが、そこには大きな試練が待っていたのです。
スサノオから、国を治めるための『打ち出の小槌』を見つけ出すように言われ、様々な銀河を旅することになった大国主。
そこには、八つの世界との出会いが待っていました。
〜神々が生み出した魚卵の数々〜
二人の神様が『打ち出の小槌』を振った途端、虹色の光とともに、目の前に八つの銀河が生まれた。
「さあ、行きなさい」
二人の神様は大国主にそう告げると、どこかへ消えていってしまった。
物語の始まりは、全ての始まりである「卵」が導きます。
季節に合わせた様々な卵と、美しいガラスの器をお愉しみください。
〜菊花最中〜
喧嘩をしている二人の神様の間を飛び交う悪い言霊。
そこに、言霊袋と打ち出の小槌を手にする美しい女性が現れた。
悪い言霊は言霊袋に吸い込まれ、女性が打ち出の小槌を振ると、あたり一面に菊の花が広がり、二人の神様に思いやりの心が戻った。
二人の神様は、女性を『菊理姫』と呼んだ。
白和えは、豆腐だけだと濃厚さが足りません。そこで、トリュフのベースと、燻製し塩麹につけた自家製の生ハムを合わせ、奥深さを演出しました。
〜鮑の握り寿司〜
真っ暗な世界の中
シャン シャン
小槌を振る鈴の音が聞こえた。
ボッと炎が突然現れる。
炎の中を、目を凝らしてよぉく覗いた中には、輪になって炎を囲み踊る人々が見えた。
その中の一人がだんだんこちらに近づいてくる。
勾玉を手の中に渡されると、その人は急ぐようにまた戻っていった。
太陽神であるアマテラス大御神を祀る伊勢神宮で献上されている鮑と、蒸した米に見立てて⻑時間煮込んだ鮑、出雲ブランド米である「奥出雲仁多米」を使用しました。
〜揚げたての飛龍頭〜
ぴちゃ、ぴちゃ。
水の感覚がする。ここは...
川の中だった。
どこからか、声が聞こえる。
聞こえた方に歩いてみると、そこには打ち出の小槌を手にしたスサノオの姿が。
どうやら、これからヤマタノオロチを退治しに行くらしい。
後をついて行くと、あっという間にオロチを退治したと思ったらスサノオはいつの間にか消えていた。
古事記にて、「身体には苔やヒノキが生えている」と書き記されているヤマタノオロチの鱗を、⻘のりの餡で表現しました。
〜季節のお造り〜
「小槌は...どこ...」
「ここだよ 玉手箱の中さ」
目を開けると、目の前には大きな⻯宮城とその周りを飛び交う龍の姿があった。
「この小槌は願いを何でも叶える『打ち出の小槌』さ。上手く使えば世界をより良くできるが...君にはまだ早い」
龍はそう告げると消え去っていった。
市場で購入した、その日の1番いい魚を使用しています。魚は旬のものを使用しているので、その時によって違う魚をお愉しみいただけます。
また、玉手箱を想起させる黑い木箱の器にもご注目ください。
〜百合根饅頭〜
「もっと早く走れるようになぁれ!!」
サメに追いかけられているウサギがそう叫びながら小槌を振ると
ウサギはあっという間に月まで飛んでいき無事にサメから逃げられたらしい。
月についたウサギは、ヒトの姿に変わりこちらを見て微笑んだ。
お椀ものは、深みがあり、ほっこりと温まるものを。
百合根は、お正月の縁起物としても知られています。鱗茎が重なり合う姿から 和合、仲良く調和するという意味があります。
〜神魚の奉書焼き〜
あっあつい!!!
辺り一面炎に囲まれている。
耳を澄ますと、
パチパチ チュウチュウ
後ろからネズミの声が聞こえる。
振り返ると、矢を口に咥えた小さなネズミがいた。
「僕のことをよく気づけたね。助けてあげよう。ほら、えい!!!」
ネズミが小槌を振ると、一面の炎とともにネズミと小槌も消えてしまった。
島根の郷土料理、奉書焼き。
平安時代の頃から、スズキは縁起の良い 高級魚として知られていました。
少し大胆な炎の演出もご用意しております。
〜牛頭天王の頬肉の甲州煮〜
「ご飯を恵んでくれないか...」
大国主は、すまないがご飯を持っていないと伝えようとした瞬間、服の中に違和感があることに気がついた。
服の中に手を入れてみると、そこにはちまきが入っていた。ちまきを老人に渡すと、老人は金色の光を放ち、スサノオ・牛頭天王・⻘龍へと順に姿を変えてみせた。
「ずっと君の旅を見ていたよ。
優しい心と勇気を持つ大国主ならこの小槌を正しく使い、素晴らしい国を作るのだろう。
この小槌をさあ、受け取りなさい。」
お粥も、麺のように伸びることをご存知ですか?
料亭でしか味わえない出来立てのお粥と、牛頭天王(スサノオ)に見立てた牛頬肉をお楽しみください。
〜自家製の若草と不味いお抹茶〜
時は江戶時代。
松平不味が当時治めていた出雲国の財政難で困り果て、出雲大社にお祈りをしていた時のこと。
シャン シャン
と、鈴の音が鳴った。
街に戻ってみると、不思議なことに「今年は豊作だ!」と多くの農家が喜んでいた。
その鈴の音が鳴った日を境に、財政難は収まり、出雲国は栄えたのだそうだ。
そして、今でも出雲は『縁結びの地』として栄え続けている。
島根の銘菓、若草。
シンプルだからこそ、伝えたい。
若草の色に込められている、春の趣、新しい出会い。
花の咲く直前のような繊細な美しさ。
新しい良い訪れがありますように、と願いを込めて。
島根の茶人 松平不昧公の思いを込めたお抹茶とともに。